ようやく収穫が終盤にさしかかってきました。
去年の今頃は何してたかな?と過去の写真振り返ると、焙煎しに行ったり試験場で講習を受けていたり、収穫とは全然関係ないことばかりをしていて、今年との差に驚いています。
去年うちの農園はカットバックと言って、畑をリノベーションする為にほとんどの木を切り倒しました。なので、去年の時点ではまだ実をつけるほど育っている木があまりなく、収穫もあっさり終わらせることができました。
しかし今年は木も成長し、おそらく去年の倍以上収穫がある状態なので、ここ1、2ヶ月収穫以外のことは何もやっていません(・ω・`)正直それでも追いついていなくて今年はもうがむしゃらに摘んで乗り切ろうぜって感じ。問題は来年です…(゚∀゚)
来年はさすがに誰かに手伝ってもらわないと到底乗り切れなさそうなんですが、手伝ってくれる人が見つかるか分かりません。
コロンビアのコーヒー農家は小規模農家がほとんどなのですが、そのうちの多くが家族で経営しており、収穫となればみんなで作業を行います。一方私たちは2人きり。栽培面積はわずか2ヘクタールほどですが、スピード勝負のコーヒー収穫には来年はあと2人は必要になりそうです。
大規模農家にもなると収穫期には外部からコーヒーピッカーとよばれる期間労働者を呼んできて農園内で住み込みで働いてもらいますが、うちにはピッカー用の宿舎がないですし、セキュリティの面でも心配なので知らない人に仕事を頼むのは避けたい所。
集落に働き盛りの若者はたくさんいるのですが、色々と事情があってそう簡単にはいきません。
賃金安すぎ
田舎での仕事の給料は最低賃金が一般的。6時から15時まで働いて日給1000円が基本です。
仕事はというと終始重労働。日本企業のように安全は確保されておらず、作業の目安などもありません。ひたすら重い荷物を運ばされたり、高い木に命綱なしで登って枝を切ったりと、言ってしまえば「だれもやりたがらない仕事」を命じられます。1日1000円で。あ、もちろん保険等の福利厚生なんてあるわけありません。
そんな環境でも働く労働者にとって、収穫期はがっつり稼げるチャンス。収穫作業の報酬は歩合制の農園が多いので、単純にたくさん摘めばたくさんお金がもらえます。だいたい1キロで700ペソが相場なので、1日100キロ摘めば7万ペソ(2130円)と、普段の2倍稼げるんです。ただ、量をかせぐ為にまだ熟していない緑色の実もたくさん摘んでしまうピッカーが多くいるのが現実。彼らもお金を手に入れるのに必死なのは分かりますが、未熟の豆が混じったコーヒーは大幅に品質を落とすことになってしまいます。
あ、ちなみに100キロ摘むのは簡単ではなくて、相当の経験が必要になります。隣国ベネズエラから多くの難民がコロンビアに流れてきて、生きていく為にコーヒーピッカーとして働いたりするのだそうですが、経験のない彼らはたくさん摘む事ができないのでほとんど利益を得られず辞めていくんだそうです。私がピッカーだったら1日50キロも摘めないと思いますよ(゜ω゜)そして収穫作業はかなり過酷なので、儲かるとはいってもやはり割りに合っていません。
コロンビアの経済成長
コロンビアはここ数年でものすごい勢いで経済成長してきました。
田舎にはまだ昔ながらの暮らしが残っていますが、田舎に生まれた多くの人が都会に流れていき、農業の高齢化が進んでいます。(日本と一緒ですね)
私が住む集落は、コロンビア第二の都市であるメデジンまでバイクで1時間くらいで行けてしまうので、働く意欲がある若者はみんなメデジンに通って働いています。
なので必然的に残った若者は「働きたくないけど、たまに遊ぶお金が欲しい」程度の言ってしまえば怠け者が多く、仕事を頼んでも当日になってめんどくさくなってドタキャン、みたいなの事がしょっちゅうあります。また仕事中もサボることで頭がいっぱいなのでこちらも目を離すことができず、結果効率が悪くなったりします。
日本人の感覚ではありえない事ばかりやらかしてくれますが、ここ田舎ではこのルーズさも普通のことなので注意する事もできません。というか、1000円しか払わないのでそんなガミガミ言うのが気が引けるというのが本音です。
経済成長に伴って昔と比べて教育も改善されました。集落の労働者のベテラン層(50代以降)は読み書きができない人がほとんどです。昔は田舎の子供に教育を受けさせない親が多かったことが背景にあります。学がない彼らは都市で仕事に就くことができず、田舎で仕事をする以外選択肢がない為田舎に残っていますが、今の子供は基本的な教育を受けることができるので、これから更に経済が発展していくとなると、どんどん人材が都市に流出していき、今ですら苦労している労働者確保は更に厳しくなっていくと思います。
賃金を都市の水準まで上げることができればいいのですが、ニューヨーク市場でコーヒー価格が毎日激しく上下するため、賃上げは容易ではありません。去年はコーヒー価格が安かった為、多くの農家が赤字に苦しんだと思います。
スマート農業化したい
日本では今スマート農業に力を入れていると聞きました。
スマート農業とは農業従事者の減少と高齢化の対策として、ロボットや情報通信技術を取り入れた農業のことです。また、安定した品質管理や、人件費や労力の削減にもなるというメリットもあり注目が集まっているんだそう。
うちもスマート農業まではいかなくともいろいろ機械化したいなぁと日々妄想を膨らませております(´∀`)
だって、コロンビアってかなり農業後進国なんですよ。
日本ではトラクターとか軽トラなどが農業の現場では活躍していると思うのですが、コロンビアの多くの農家がいまだにすべての作業を人力で行っています。土を耕すのは桑を使い、草を刈るのにはナタを使い、何かを運ぶ時は馬やラバを使います。
コーヒー産業の場合、コーヒー栽培地は山の斜面の事が多いので、機械化は更に難しくなります。
コーヒー生産量世界一を誇るブラジルの多くの農園では機械でコーヒー収穫が行われていますが、コロンビアでは先述した通り山の斜面で栽培されており、多くがブラジルほど広大な栽培面積がない為、このような機械の導入はほぼ不可能です。

また道が狭い為、軽トラなどは入ることができず、収穫されたコーヒーチェリーはピッカーが担ぐか、ラバに縛り付けて加工場まで山を登って運ぶ必要があります。

実はうちも現在そんな感じでマニュアルなコーヒー栽培を行っています。今のところなんとかなっていますが、正直「いつまでこんな原始的な方法を続けるの?!」と思っているのが本音。これからどんどん歳を取っていくのに身体を駆使する今の方法では長く続けられないと思うのです。
今一番欲しいのはケーブルカー。

これさえあれば摘んだコーヒーを担いだり、コーヒーを植える時に苗木をわっせわっせ運ぶ必要がなくなるのです。とっても画期的!
コーヒー収穫にも草刈り機の先端に取り付けるような枝を揺らす機械が既に開発されています。
「コロンビアのコーヒー栽培は手摘みをしてラバで運ぶのが伝統!」と機械化を良く思わない現地の意見もあるようですが、時代に適応していくためには避けられない道だと思うんですよね。
ただ、これらの変化には資金が必要です。
コロンビアの農家は9割が貧困と言われており、日本のように農業従事者への補助金等は全くありません。国は都市の改革に力をいれており田舎は優先度が低い為、田舎には道が整備されていなかったり電気が通っていなかったりする場所もいまだ多くあるのが現実。このままだと貧富や生活水準の差がどんどん開いていってしまうと思うので、コロンビア政府さんにはなんとか頑張ってもらいたいものです。
とはいっても政府が動くのを待っていても仕方がないので、宝くじでも買いましょうかね〜( ´∀`)
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