アンティオキア県では早いところではもう収穫が始まったらしく、それに関する記事も結構目にするのですが、どれもコロナ対策の話題が中心で似たり寄ったり。
そんな中なかなか面白い記事を見つけたのでシェアします。
デサライゴ(https://desarraigocafe.com/)というボゴタの学生が中心になって作られたグループがあります。
El Espectadorというコロンビアのメディアが、4シリーズに渡り彼らの特集を組みました。
毎朝の一杯のコーヒー。今は当たり前のように存在していますが、その習慣が終わりを迎える日も近いのかもしれません。
全部スペイン語なのが残念ですが、写真や動画でも十分楽しめると思うのでぜひデサライゴのーウェブサイトも覗いてみてください!
第一章 コーヒーのない世界
「デサライゴ(離郷)」はラサバナ大学がアメリカ インディアナ州パデュー大学のサポートを得て結成されたマルチメディアのプロジェクトであり、コロンビアのコーヒー栽培が直面する気候変動、貧困、若者の田舎への関心の低下等の弊害について追及したものである。
これはEl Espectadorが毎日発信する全4シリーズの一番初めのシリーズである。
数年後にはコロンビアからコーヒーは無くなるだろう。
コーヒー農園や、味や香りが世界を相手に名声と誇りを与えた象徴的な品種ですら姿を消すだろう。
気候変動、田舎の貧困、若者の田舎への関心の低下、収益性の陥落、不十分なサポート制度…これらはコロンビアコーヒーの将来に疑問を投げかける脅威のいくつかの例だ。
「僕たちの明日のコーヒーはどうなってしまうのだろうか?」
コロンビア人にとって最も文化的に重要な農産物の将来を心配し、ラサバナ大学の学生7人は自身に問いかけた。
デサライゴは、コーヒー農家の抱える問題について紹介する2つのドキュメンタリーと、コーヒー生産者の土地に対しての繋がりと情熱を証明する4つのショートビデオ、更に有益な記事と2019年に7人の若者がエヘカフェテロに取材に行った際のレポートをまとめたウェブサイトを含むプロジェクトである。
コーヒーは、ただの飲み物にとどまらない。
コーヒーは伝統、遺産、文化である。とりわけコーヒー生産者にとっては唯一の拠り所であり、一日一日を乗り越えていく為の居場所なのである。
コーヒー生産者は、世界にコーヒーを提供するための骨の折れる作業を続けてきた。
今度は世界が毎朝の温かい一杯のコーヒーを守ってくれている彼らを助ける番である。
このプロジェクトは2020年7月27日にSNSのInstagram、Facebook、そしてウェブサイトで公式に活動を始動した。
デサライゴはコーヒーとの繋がりを再確認し、コーヒー生産者自身の口から語られる「国全体でコーヒーを守るために生産者を支援してほしい。それらは生産者のためでなくコロンビア全体の為になるのだから」という嘆きを知らせるための、コロンビア文化の真髄に迫る冒険と旅なのである。
以下省略
第二章 コロンビアコーヒーの将来を脅かす気候変動

「デサライゴ(離郷)」はラサバナ大学がアメリカ インディアナ州パデュー大学のサポートを得て結成されたマルチメディアのプロジェクトであり、コロンビアのコーヒー栽培が直面する問題について掘り下げたものである。
この章でのメインテーマは海抜1250mから1600mの間に位置するコーヒー農家を直撃する『気候変動』である。
これはEl Espectadorが毎日発信する全4シリーズの2番目のシリーズである。
数年前からひとつの影が世界に広がり、コロンビアコーヒーを脅かしている。気候変動である。
森林伐採や気温上昇が生産者の仕事を年々難しくしているのだ。
もしこの問題に対して何も行動を起こさなければ、2080年かそれ以前にコーヒーは世界から消えてしまうという予測もある。
彼らの一番初めのドキュメンタリーで、デサライゴはこの問題について明確かつ強力に訴えかけた。
コーヒー栽培は時計修理屋の様な仕事だ。
ひとつひとつの仕事の仕事が精密であり、少しの変化ですら全ての作物に影響を与える。
伝統的にコーヒーは海抜1250m〜1600mで栽培されていた。
気温上昇は栽培に適した土地の高さを1450m〜1800mまで上昇させ、国内の典型的な栽培地域がコーヒー収穫には気温が高すぎる土地となってしまった。
言い換えると、海抜1250m〜1600mに位置する農家は使い物にならなくなってしまい、多くの生産者の将来を奪ったのだ。
気候変動は過剰な雨、干ばつ、カビ、疫病などの原因にもなる。
コーヒー生産者は不安定な状況にあり、長雨や極端な干ばつが起こるかどうかを予測することができない。
彼らが努力しても、地球の温度が上がり続ければ、その気温に耐えられる農家は存在しない。
40年以上のコーヒーの研究、養成、コンサルティングの経験をもつピーターベイカー博士によると、コロンビアのコーヒー栽培地域の気温は10年で0,3℃づつ上がっているという。
気候変動がコーヒー生産の場面に与える影響に対応する為の戦略を採用する必要があるのだが、コーヒー生産者への支援は最小限しかなく、気候変動との戦いに彼らが取り残されてしまっている。
国際熱帯農業センターの研究員で気候変動のスペシャリストであるアンディ・ハルビス氏は、2012年の農村対話グループでの会議で次の様に述べた。
「生産者は日陰栽培や品種の変更、肥料等を変える事などで適応を試みることができます。しかし、構造上の適応策も必要です。コーヒーの場合、製品に付加価値を与え、生産システムの変更に対して資金を提供し、それらに対応した人に対してインセンティブ与える様な政策行うことが例にあげられます。」
デサライゴはこれらの問題を、全てのコロンビア人が解決策を探すべき課題だと言う。
そうでなければ、国の最も重要なシンボルが危機にさらされてしまうのだ。
第三章 コーヒー生産者の劣悪な状況: コロンビアコーヒー生産のもう一つの課題
「デサライゴ(離郷)」はラサバナ大学がアメリカ インディアナ州パデュー大学のサポートを得て結成されたマルチメディアのプロジェクトであり、コロンビアのコーヒー栽培が直面する問題について掘り下げたものである。
この章でのメインテーマは、農村地域の基本的なサービスの状況の不安定さから来る若者の田舎に対する関心の低下についてである。
これはEl Espectadorが毎日発信する全4シリーズの3番目のシリーズである。
次世代のコロンビア人が成人する頃、まだコーヒーの木は存在するだろうが、きっとそれらを世話するものはいないであろう。
コロンビアの象徴である作物の最大の脅威は、地球温暖化だけでなく、若者の田舎離れからももたらされている。
デサライゴの2つ目のドキュメンタリーで、彼らは国の農村部の不確かな現状について調査する。コーヒー栽培を継ぐ者はいるのだろうか。
デサライゴチームはリサラルダ県サントゥアリオのコーヒー生産者であるマウリシオ・アルボレダ氏に問いかけた。
彼が答える最中、沈黙が農園中を包んだ。
「私は3代目のコーヒー生産者です。父はコーヒー農家です。祖父もそうでした。祖父は亡くなりましたが、私たちにこの伝統を残していきました。私の兄弟も皆コーヒーに携わっています。しかし、私の息子たちは私ほどこの土地を愛したり、私がしている様に働くことはないと思います。」
田舎に興味をもつ若者をなくして、誰が農園を継ぐのだろうか?
15年、20年後、誰がコーヒー生産者になるのだろう?
答えは何であれ、それは若者のせいではない。
コロンビアの農民達の現状があまりにも悲劇的であり、若者がもっとマシなものを求めるのも当然だろう。
近くの街に移住する方が簡単な解決策なのである。
テクノロジーや金融サービスへのアクセスがなく、農村地域に適した教育が行われない中で、更に不当な労働条件が重なり、若者達は両親や祖父母から農園を継ぐことに魅力を感じない。
コーヒー生産者は、自分たちが最後の世代になってしまうかもしれないという悲しみを抱えながら、遺産を継承しようとしている。
数年後にこの地が存在し続けているかどうか、彼らは知らない。
ラサバナ大学の若者たちで製作されたデサライゴのドキュメンタリーの中ではこう述べられている。
将来、若者たちが田舎で農業を営む事ができる様に支援し、コーヒー生産者の状況を改善する為に、社会として最大限の努力をしなければならない。
若者の将来を保証することは、コロンビアコーヒーの未来を保証することに繋がるのである。
状況を悪化させる気候変動のプレッシャーもと、国の重要な文化であるコーヒーの為に、才能や若者を支援する事はとても大切な事なのである。
第四章 コーヒーへのラブレター: コロンビアのシンボルの将来救う
「デサライゴ(離郷)」はラサバナ大学がアメリカ インディアナ州パデュー大学のサポートを得て結成されたマルチメディアのプロジェクトであり、コロンビアのコーヒー栽培が直面する問題について掘り下げたものである。
この章では4人のコーヒー生産者が、彼らとコーヒーや土地との繋がりについて話す。
これはEl Espectadorが毎日発信する全4シリーズの最後のシリーズである。
コーヒーを愛するのは毎朝熱いコーヒー飲む人だけではない。
実際にコーヒー植え、注意深く栽培し、コーヒー木の中で生まれ育った人々も同様だ。
コーヒー農園は彼らの人生であり、人生とはコーヒー農園なのだ。
コーヒーがない世界など想像できないが、コーヒーは彼らなしでは未来がない。
「コーヒーへの手紙」と題された一連のビデオシリーズの中で、デサライゴはコーヒー農園の素晴らしい景色と共にコーヒー生産者の口から語られる彼らの土地に対する繋がり、愛、情熱を探っている。
アンジー・ロペス、マウリシオ・アルボレダ、カルロス・イグナシオ・ロペス、ヘルマン、ジュリアン・ボテロ。彼らはこのプロジェクトのチームがエヘカフェテロで行ったインタビューに答えた生産者達だ。
彼らは「コーヒーへの手紙」のインタビューの中で、なぜコーヒー栽培が彼らのホームであり伝統なのか、栽培する上でどんな情熱を感じるのかについて述べている。
「お金以上のものです。それよりももっと大切な価値があるように感じます。」
リサラルダ県サントゥアリオの生産者であるマウリシオ・アルボレダは断言した。
彼も他の生産者のように、コーヒーが気候変動によって消滅する可能性があることを切なく思いながら話す。
コーヒーは彼らにとって人生であり、伝統、居場所、遺産そして文化なのである。
状況が変わらなければ、近い将来コーヒーは姿を消す。
コロンビアの最も重要なシンボルでも、コロンビア人のテーブルに欠かせない飲み物でもなく、何千人ものコーヒー生産者のアイデンティティが失われ、世代を通して受け継がれてきた伝統が終わりを迎えてしまうのだ。
国のコーヒーの伝統を救うためには、国や社会が気候変動に立ち向かう為の具体的な決断を下し、農民たちが置かれている状況を改善することが求められる。
そうでなければ、270万人以上の国民が居場所を失う事になるのだ。
彼らの文化、思い出、全てに別れを告げなければならなくなるだろう。
その為、デサライゴは国の遺産を守る為に国に働きかけた。
コーヒーの将来を守ろうとする事は、コーヒー生産者にラブレターを贈るようなものだ。
毎朝の一杯のコーヒーを影で保証してくれるコーヒー生産者に向けた一通のラブレターなのだ。
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