今日は米州開発銀行(BID)の記事です。
BIDは、気候変動からラテンアメリカの農業を守るため様々な活動をしている機関です。
以前、和訳した記事にもBIDのコメントが紹介されていましたね。↓
リンク内にあるマップはぜひぜひ見てみてください。
今当たり前にコーヒー栽培が行なわれている所が真っ赤(栽培不可能)になっていてちょっとショッキングでした。
では早速訳していきましょう〜∠(゚ω゚)/
元記事↓
気候変動の最も予期せぬ影響
中南米はラッキーだ。高品質のコーヒーを栽培するための地形とロケーションに恵まれているからだ。
世界最大生産国10か国のうち、5か国が中南米であることも驚くべきことではない。
その中でも1位は世界中で飲まれているブラジル。コロンビアは高品質なコーヒーで知られている。
そして、コーヒーの需要が近年増していることも不思議ではないだろう。
年々アジア諸国の中流階級の増加していることを受け、世界ではどんどんコーヒーが必要となっており、生産キャパシティの増加は生産者に影響を与えている。

ひと昔前は、農家にとってコーヒーは人生を勝ち取るための有益な選択肢であった。
今日の中南米全体のコーヒー業界では、1400万の人が働いている。
しかしながら近年、気候変動、害虫、国際市場におけるコーヒー価格は大きな嵐をもたらし、中南米の小規模農家とその家族数万人の社会福祉を脅かしているのだ。
一番影響を受けているのは、栽培面積2ヘクタール以下の小規模農家で、コーヒー栽培はどんどん報われないものとなってきている。
その為いくつかの農家はコーヒーから別の作物に移行し始めたり、田舎をあとにして街や外国に移り住む者もいる。
気候変動: 一番の罪
傾向は明確だ。そして我々が行動に移さなければ取り返しのつかない事になる。
気候変動の専門家達は、今世紀の地球の温度は最も暑い月で1,5〜4,5度上昇し続けるだろうと口を揃える。
更に、干ばつや雨季がより予測不可能で極端のものとなることも予測される。
気候変動は海面上昇や氷河の溶解のような既に目に見えている面もあるが、コーヒーの木にも直接的なかたちで影響している。
この作物は成育や品質のために明確な気温、日光、湿度が必要とされ、コーヒーベルトと呼ばれる地域で栽培される。
しかしこれは将来変わるかも知れない。
地球温暖化はコーヒー栽培可能地域のかなりの面積を減少させ、2050年までにトータルで50%も減少する結果となりうる。
そして、以前まで不可能だった地域でコーヒー栽培が行われる場所もでてくるだろう。
栽培地域の移動のひとつの例として、ニカラグアではコーヒーの栽培最適高度が2050年までに1200mから1600mになると推定される。
「適応するためのアクションは、農業においての気候変動の影響を減らすことはできても、排除または逆転させることはできません。その為、気候変動の主な原因である温室効果ガスの削減を目的とした緩和策と対応策の実行が必要となります。」
農業・農村開発部門のシニア専門家であるアナ・リオスは言う。

問題の原因
1869年、インド亜大陸の南部に位置する小さな島スリランカは、年間4万5千トンものコーヒーを生産するポテンシャルのある国と考えられていた。
しかし、同年にサビ病が蔓延し、全てが変わってしまった。
サビ病は、コーヒーの木の重要な生命機能を停止させ、実をつけなくなるまで木を衰弱させるという特徴がある。
それは短時間で疫病として島中に一気に広がったのである。
更に20年以内にサビ病はスリランカのコーヒー産業を終わらせ、世界中に広がり始めた。
その約100年後の1970年に、サビ病はブラジルに到達し、中南米で初めてこの菌が検出された国となった。続いて中米には1976年、コロンビアには80年代に確認された。
2012年から2013年の期間、気温の上昇や地球温暖化のような気候のコンディションと、生産者の準備不足が災いし、中米ではサビ病原因で最悪なコーヒー危機を経験した。
沢山の人が消毒の方法や技術に関する知識を持っていなかったのである。
ホンジュラス、コスタリカ、グアテマラのような国では緊急事態が宣言された。
最終的にコーヒー栽培面積の50%以上が破壊され、少なくとも35万人もの人が職を失う結果となってしまった。
悪い知らせなのは、気候変動がサビ病の蔓延と作物を攻撃する強度に対して好都合に働いてしまうということである。
将来、アラビア種のコーヒーどこで栽培されるだろう?
気温の上昇でいくつかの地域でコーヒー栽培ができなくなるだろう。
この地図では、現在コーヒー生産が行なわれている主要地域が、2050年に気候変動の影響でアラビア種の生存にどのような変化があるかを示している。
マップはリンク内を確認してください。
●栽培不可能
●ほぼ栽培不可能
●かろうじて適切
●変化なし
●栽培可能
コロンビア式対策?コーヒーのDNA
世界的に、コーヒーは120もの異なる種類が確認されている。
しかし、日常的に我々が飲んでいるコーヒーとなるとたったの2種類だけであろう。
アラビカ種として知られているCoffea arabicaと、ロブスタ種として知られているCaffea canephoraだ。
アラビカ種は気温の上昇に耐性がなく、サビ病の影響を受けやすく、更に生産量が少ない。
一方ロブスタ種は対照的で、熱に耐性があり栽培しやすく生産量も多いのが特徴だ。
しかし、味に関していえば一般的にアラビカ種が最高品質だと言われている。
今日では、世界で生産されるコーヒーの60〜80%がアラビカ種で、20〜40%がロブスタ種だ。
気候変動はだんだんアラビカ種の栽培を難しいものにしている。
解決策はどこにあるだろうか?答えはコーヒー自体のDNAのある。
1960年代、サビ病が大西洋渡る前、コロンビアの生産者連合会の科学センターであるセニカフェは、アラビカ種の味の長所と、ロブスタ種のサビ病に強い特徴を組み合わせた品種の開発を始めた。
問題だったのは、それらは異なる品種であり、違う品種同士を交配させることはできないということだ。
しかしセニカフェは、1980年にカツーラとティモールの交配させたコロンビアという最初の交配種を開発した。
しかしサビ病は時間と共に変異しており、以前は抗体があった品種のいくつかには対応しなくなっている為、セニカフェでは新しい品種の開発が進められている。
2005年にはカスティージョ、その10年後にはセニカフェ1を発表した。
「これらの生産者連合会から提供される品種は、バランスの取れた味を持ち、よりサビ病に対して免疫があります」
キンディオ県の山の海抜1780mに位置するコーヒー農園エル オカソで働くラウラ・サンチェスは言った。

いくつかの農家は生産コスト以下の値段でコーヒーを売っている。コロンビア生産者連合会は価格を最低$1,4/lbとして確立することを提案している。
我々の取り組み、米州開発銀行(BID)グループが実行したことの事例として、どんなことがあげられるだろう?
BIDは、気候変動に対応した遺伝子を特定する為のコーヒーのDNA配列の解析においてセニカフェをサポートし、それによって改良品種の開発プロセスを早めることに貢献した。
一方、BIDグループのイノベーション研究所であるBID LabのSAFE(持続可能な農業、食品、環境のプラットフォーム)では、気候変動やその他外部要因に対しての対応を促すプロジェクトを遂行し、小規模農家が国内外のサプライチェーンに参加できるようにした。
同様に、BIDグループの数々の融資や技術支援事業は小規模農家を中心とした生産者たちに気候変動への対応力の向上を進めている。
「気候変動への順応と温室効果ガスの減少に同時に貢献する対策の計画と実施は、生産者、経済、環境へ利益をもたらす優先活動と言えるでしょう。」
アナ・リオスは述べた。
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