コーヒー農家の生活が厳しい事を知っている方は既にたくさんいらっしゃると思います。
ありがたい事に、なるべく農家が損をしないように、ダイレクトトレードをしようと頑張ってくださっているロースターさんも増えてきました。
美味しいコーヒーを探すべく世界中飛び回る日本人も今や珍しくありません。
彼らが探しているのは『高品質のコーヒー』。
質が高いコーヒー作っている農家は、高い値段で買い取ってもらう事ができます。
おいしいコーヒーを作れば高く買ってもらえるんだからもっと頑張ればいいじゃん。
スペシャルティコーヒーをみんなが作れば損する農家はなくなるじゃん。
と思いませんか?
その通りなんですが、なかなかそう上手くはいかないのが現状です。
今日はその理由の一部を紹介します。
コーヒーをたくさん売れば、たくさんお金になりますよね。
では、コーヒーの木をたくさん植えればたくさん実がなってお金がもらえますよね。
幸いコロンビアは組合がしっかりしているのでたまに種をもらえたりします。
でも木が増えるという事はその分手入れする範囲が広がります。
コーヒー農家に休みはありません。
収穫時期意外はやる事がないと思われがちですが、実際は次の収穫時期に向けてとても忙しくなります。
そんな中で木を植えるための穴を堀り苗を植え、他の木も世話をするというのは小規模農家には簡単な事ではありません。
木の本数を増やせないとなると、今ある木に肥料を十分に与えて一本の木に成る実の量を増やす必要があります。
ただ平均的な生活すらままならない農家に、肥料を買う資金などありません。
たとえ運良くたくさんの実がなったとしても、収穫する人が十分にいないと収穫が追いつかず、せっかくできた実が旬な時期を過ぎて腐ってしまいます。
コーヒーの実は摘むタイミングがかなり重要になります。全体が深い赤色に染まるのが旬な時期で、遅くても早くても美味しいコーヒーになりません。
数千本数万本のコーヒーの木からベストな実だけを摘み取るためには、それなりの人数の労働者が必要なのです。
もちろん労働者はボランティアではないので彼らの生活を支えるためお給料を払う必要があります。
さて、自分たちの生活すらまともにできないのにどうやって彼らにお給料を払えるでしょうか。
また、コーヒーで生計を立てている農家の中にはインターネット回線がない家がとても多い事も問題としてあげられます。
理由はお分かりだと思いますが月額が払えないからです。
インターネットが満足に使えなければ、海外と連絡をとる事ができないので、ダイレクトトレードをしたくてもコンタクトをとる事ができず、あちら側が見つけ出してくれるのを待つしかありません。
そして、個人で海外に輸出するとなると、輸送コストの関係でこまめに出荷せず、まとまった量のコーヒー豆が集まるまで豆を保管しておく必要があります。
しかし小規模農家の中にはコーヒーを組合に売って、手に入れた現金を手にその足で食材を買いに行く農家は少なくありません。(うちもそうです)
極端な話、半年後の100万円よりも明日の1万円が欲しいような状態なのです。
保管している間のコーヒーの収入がないというのは、貯蓄がない農家にはとても難しい問題です。
金銭的要因が大半なので、はじめにどかっと金融機関から借金をすれば、後々なんとかなるような気もしますが、度重なるコーヒーの価格暴落を経験してきた農家はかなり保守的になっており、なかなかそのリスクを背負えずにいます。
金銭的要因だけでなく、農家のモチベーションの低下も大きな要因のひとつなのです。
「作れば作るほど赤字」と言われているコーヒー。
彼らをかろうじて支えているのは『コーヒー生産大国のコロンビア人である』というプライドだけとも言えます。
先日こんな記事を目にしました。
日本人が知らない「コーヒー」生産農家の悲哀 https://toyokeizai.net/articles/-/295507
日本では表にでないコーヒー農家の現状について書かれている記事です。
筆者が書いているように、これらは日本のコーヒー消費者のせいではありません。
どこかで自分の利益しか考えない人がいたり、自分たちが不利にならないよう都合の悪い部分を隠している人たちがいる為に起こっている事です。
あまりネガティブな事ばかり書きたくないのが本音ですが、コーヒーの素晴らしさを伝えてくれる媒体は日本には既にたくさんあります。
その為、私はあえてコーヒー業界の影になっている部分も伝えていこうと思っています。
一人でも多くの方がコーヒーを手にした時に生産者の事を少しでも思って頂ける事を願っています。
コメント